体のコンディションは朝昼夜で異なる

「かまた体操」とは、ぼくが佐賀県で開催している「がんばらない健康長寿実践塾」、通称「鎌田塾」の健康運動指導士や塾生たちと一緒に考案した、オリジナルの健康体操です。

たとえば、塾生の中にも、毎朝、ラジオ体操をしている人がいます。もちろんラジオ体操はすばらしい体操ですが、私たちの体のコンディションは朝・昼・夜で違い、それぞれの時間帯で、体が必要としている動きも違うのです。

そこでぼくは、朝・昼・夜に分けて行う、計6つの体操を考えました。1日3回、それぞれの時間帯に適した体操を2つずつ行うだけ。1つの体操が約30秒ですから、朝・昼・夜、それぞれ1分。

年齢を重ねて、筋肉量や骨密度が下がった状態でハードな運動をすると、むしろ体の負担になってしまうことがあります。最適な運動量で毎日続けられることを大切に、脳・筋肉・血管・腸・骨の5つの力をバランスよく高められるように考えた体操、それが「かまた体操」です。

青空の下に笑顔で立っている老夫婦
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

筋肉を動かすと「若返りホルモン」が出る

「かまた体操」で特に意識したのは、太ももやふくらはぎなど、大きな筋肉を積極的に動かすことです。その理由のひとつは、筋肉を動かすことで「マイオカイン」が分泌されるから。マイオカインとは、筋肉から分泌されるホルモンの総称で、「若返りホルモン」とも呼ばれています。

このマイオカインには、

・血圧や血糖値を下げる
・動脈硬化を予防する
・抗うつ作用
・免疫力を高める
・がんのリスクを減らす

などの、体にうれしい健康効果が期待されているのですが、さらに注目すべきなのは、脳細胞の成長や修復を助けるマイオカインが存在することです。つまり、筋肉を動かすたびに、体だけでなく脳まで元気になる──。そんなイメージで、「かまた体操」に取り組んでいただければと思います。